魚が嫌いだった父が魚料理を作ったワケ

かなり後になってから知ったことなのだが、私の父親は魚料理が苦手な人である。
確かに記憶を手繰り寄せて見れば、肉料理を好んで食べている時の方が多かったような気がする。

しかし、大きなまな板の上でカツオやイカなど様々な海鮮を捌いていた姿も記憶にある。
だからかもしれない。
父が魚が苦手な人だとは全く思わなかったのだ。
私が大人になって、父は笑いながら話したことがあった。
親が嫌いな物は、どうしても子供に食べさせることが少なくなる。
そうすれば、子供が将来魚を食べられない人になってしまうかもしれない。
そしてまた自分が母親になった時に、自分の子供に魚を食べさせなくなってしまう。
だから自分が魚が嫌いだということを一度も言わなかったと言うのだ。
ちゃらんぽらんな父だと思っていたが、確かにそれはその通りだなと思って聞いた。
そう言えば、父が魚を捌く時はいつもお酒を飲みながらやっていた。
ただの酒好きの料理だとばかり思っていたのだが、実は魚のニオイを麻痺させる為に飲んでいたと言う。
まあ、それは本当かどうか分からないが、こうやって私たち姉妹が魚嫌いにならなかったのは、父のおかげでもあるのだろう。
カツオはよく食べて育った。
手作りのイカの塩辛や、赤魚の煮つけなども美味しいと思いながら食べたものだ。
ショウガやニンニクなどを上手くあしらって、臭みの全く気にならない料理を作ってくれた。
それに、肉料理もよく食べさせてくれたものだ。
自分自身が大の肉好きであることもあり、私たちは恐らく美味しい肉をたくさん食べてきたのだと思う。
おかげで好き嫌いは無いし、私の子供も嫌いな食べ物が全く無い。