どうして表札を出していないのかと、姑たちがうちに来る度に訊いてきます。
その度に、防犯の為であると答えるのですが、どうしてもそれを理解することは難しいようです。
確かに、郵便屋さんや宅配便の人にしてみれば、表札が無いということでご面倒をおかけしているかもしれません。
昔の方にとっては、理解できないことなのかもしれません。
でも、色々な話を聞いたりテレビ等で見ると、表札は出したくないなと正直思うのです。
近所にも、我が家と同じように出していない方は何軒かいらっしゃいます。
理由も我が家と全く同じの様です。
表札を出さないだけで、どれほどの防犯に繋がっているのか分かりませんが、それでも少しでもメリットがあると言うなら、やっぱり参考にしたいと思うのです。
引っ越してきた頃は、表札を出していました。
それから数年後には取り外し、現在に至っています。
人を疑わなければならない時代は、本当に悲しいです。
治安の良いことが魅力の日本は、この先もずっと同じように素晴らしい国であってほしいと願っています。
でも、子供がいる以上できるだけ犯罪から家族を守りたいのです。
家の周りには砂利をしいていますし、カギは全部二重ロックになっています。
周りに高い木や柵などもありませんし、塀ももちろんありません。
表札が無いなんて、やはりカッコ良くはないでしょう。
それは分かっています。
ですから、姑たちがいつも同じことを聞く理由も分かります。
もっともだと思います。
通販でも可愛い表札が簡単に買えるようですし、そろそろ取り付けてみても良いかもしれません。
今日はいつもとちょっと違う道を散歩することにした。
方向感覚が尋常ではなく鈍く、一旦通った道もすぐに分からなくなってしまうので、極力狭い決まった道を移動することが多いのだが、今日は仕事も休みだったので少し遠出をすることにした。
といっても、近所3キロ四方くらいなのでどうってことはないのだが。
いつも通る道を、一本奥に入っただけで見える景色と言うのは随分変わってくる。
住んでいるところが自然いっぱいの、「ど」田舎な風情のあるところなので、本当に「ここはどこだ」状態に陥る。
それで、よく分からない場所をうろうろしていたのだが、知らない道を一本横に入ると、何やらむわっとしたにおいが立ち込めていた。
どこの畑の肥料のにおいだろうと、鼻をひくつかせながら歩いていたら(べつにむわっとしたにおいを嗅ぎたいという訳ではない)、しばらくすると牛舎が見えてきた。
ああ、このにおいだったのか、と合点がいった。
20m幅くらいの牛舎に、ホルスタインの成牛が30頭位横に並んで、飼い葉のようなものを食んでいる。
あたりには、何やらおこぼれに預かろうとしているのか、カラスやハトが集まっている。
非常にのどかな光景だ。
けれども忘れてはならないのは、ここはあくまでも住宅街の一角だということ。
こんな民家の集まりのど真ん中に、どうして牛舎があるのだろうか。
牧場というわけではない。
酪農のところでよくみるサイロのようなものもない。
では一体ここにどうして牛君たちがいるのだろうか。
あたりを見回しても看板も出ていないし、近くに表札も出てない。
地図のどこをどう調べてみても何の情報が得られなかった。
その分なんだか秘密がのこされているような、ちょっとしたロマンを感じるのである。
そのうち真相は突き止めたいとおもっている。