なんとなく田舎に帰るのが増えたなと、なんとなく思っていた。
九州の小さな町からやってきた私と、同じ九州の別の小さな町からやってきた彼女は、方言が同じわけでもなく、世代が同じわけでもなく、ましてや年代も違う。
彼女は、私の担当の美容師さんである。
なんとなく気が合っていつもお願いするようになった。
その彼女は、スタイリストとしては、かなり人気が高い方だったと思う。
そんな彼女lは、あまり休みを取る様子もなく、黙々と働いていた。
最近、田舎に帰るときに取る休みが長いような気がいていたのは、わたしだけではないと思う。
もちろん、お正月とか、お盆とかの長期休みのときなのだが、それでも、これまでにはなかったことだ。
そして、今日、彼女は今月いっぱいんで、Uターンして、田舎の美容院ではたらくのだという。
せっかくスタイリストとして、定着してきたところなのに、残念だと思ってしまうが、彼女には彼女の理由があるのだと思い、快く送り出してあげようと思っている。
とはいえ、ちょっと理由を聞いてみたくなって、最後のスタイリングをしてもらっているときに、聞いてみた。
ご両親がご年配になってきたので、というのが理由らしい。
彼女らしい理由だと思った。
それほど、家庭的なほうではないから、逆に親も心配したことだろう。
そのことを理解したうえでの決心だと思った。
どちらかといえば、私も同じようなタイプなので、なんとなく感じられたのかもしれない。
田舎で、美容院のオーナースタイリストになるのだという。
それもいいね。
きっと素敵なヘアスタイルの人が、その町に増えることだろう。
彼女は、エステティックの技術ももっているので、美容全般のサービスを提供すれば楽しいかも。
そんなことを話して、彼女と最後の会話は終わった。