世間しらずのお嬢様

世間知らずのお嬢様の話はよく聞くが、まさか自分の知り合いにお嬢様がいるとは思わなかった。
大学に入って、東京に出てくると、世間がぐっと広がるから出会うこともあるのかもしれない。

今や多くの女性が工学部でがんばっているが、私がいたころはまだまだ珍しい存在だった。
180名いる学科の学生のなかで、女性は私も入れて3名だった。
そのうちの一人は、横浜の山手のお嬢様だったのである。
とてもまじめで素直な彼女は、私たち3人が知り合って3か月ほどたった頃、突然もう一人の友人に謝ってきた。
謝った理由は、第一印象がかなり悪く、嫌な人だと誤解したというのだ。
だからといって、2人が仲が悪かったわけでなく、そこは大人の付き合いをしていた。
ということは、実質無害だったのだから、謝る必要などないと思うのが普通だと思うのだが、彼女は違っていた。
誰かに嫌な人だと思われることは悲しいことだからというのが理由なのだが、どうも腹に落ちなかった。
だったら、黙っていれば丸く収まるのではと思うのである。
たぶんそれが、世間一般の考え方だと思う。
とはいえ、言われた方はどうなんだろうと思い、それからしばらく経って聞いてみた。
とにかくびっくりしたと話してくれた。
私も隣で聞いていたびっくりしたくらいだから、本人はさぞびっくりしたことだろう。
どういう顔をしたらいいかわからなかったという。
お嬢様である彼女にしてみれば、素直に謝れば許してくれて、水に流してくれるとおもっていたのだと思う。
だが、部外者の私でさえ、いまだにおぼえているのだから、言われた本人は、もっとインパクトが強かったのではないかということは容易に想像できる。

遅刻してばかりの生き方

私は昔から遅刻してばかりの人生を送ってきました。
といっても待ち合わせには10分くらいの遅刻ですが、ほとんど時間通りに場所についたことがありません。
時間前行動の人には申し訳ないなとつくづく思います。

特に一番ひどかった遅刻は高校時代です。
ちょうど私の高校時代は海外からおしゃれなカフェが入ってきたカフェブームの頃でした。
なぜかみんなそこで受験勉強をするのがとてもはやり、学校に行く前にカフェに行ってくる人がとても多かったのです。
考えてみるとありえないことですが行ってきますと家を出て、数時間カフェにいてから学校に行きます。
しかし家を出る時間を早めているわけではないので、結果として学校には遅刻をします。
そういう人もいれば、私は堂々と家で寝ていて遅刻をする人でした。
親ももう諦めていて、とりあえず学校に行ってくれればいいやというようでした。
気が付くと学校についたのがお昼前の時間で、まず学校についてやることがお弁当を食べることだったということもありました。
朝にはクラスの半分しかおらず、担任の先生がほかのクラスで愚痴を言っていたそうです。
クラス全員がそろうのはお昼でした。
大学受験の内申書が心配になりましたが、あまりに遅刻が多すぎて先生がカウントするのを拒否したようで、遅刻日数は5日ほどになっていました。
そんなわけはないのですが。
こんな生活でしたが、私の学校はちょっと有名なお嬢様校でした。
内情なんてそんなもんなのです。
それ以来ずっと時間にルーズな生き方をしてしまっているのです。