父の日のこと

父の日というのは、母の日に比べると格段に淋しい行事である。
これは世の中のお父さん達が一番ひしひしと感じていることであろう。
我が家の父は、基本的に何をプレゼントしても喜ばないし、今まであげたものを使っている姿なんてほとんど見たことがないくらいである。
きっとおそらくは何も欲しがってはいないのだろう。

そう言えば大分昔、きっと父も子供のころ遊んだ思い出を懐かしく感じるに違いないと、何を血迷ったかベーゴマをプレゼントして全く喜ばれなかった記憶がある。
それもそうだろう、私だってベーゴマは別に欲しくない。
あれは全く、私の狂気の沙汰としか思えない。
それはおいておいても、強いて言うならば父が喜ぶのは現金か、食べ物くらいである。
世の中のお父さん達、どうだろうか。
余り変わらないのではないだろうか。
けれど、そこに父の日がぱっとしない理由があるのである。
母の日のプレゼントだって、父の日と大差ないくらいに凡庸なものがあふれている。
多分、別に物自体はもらって嬉しいことも、そうでもないこともあるだろう。
けれどもお母さん達というのは、子供が何をしても喜んでくれるのだ。
物自体よりもその贈り物と言う行為の裏にある、気持ちの部分を汲んでくれるのだ。
だからこそ、みんな是非にと贈り物をするのである。
というのは我が家に照らし合わせた結果なのだが、おそらく的外れと言うこともあるまい。
そう言えば、姉が自分のだんなに、父の日に自分たちの息子の写真集を贈ると言っていた。
インターネット上の写真屋さんで、安く作ってくれるらしい。
父の日にだんなにプレゼント、しかも自分の息子の写真集はいかがなものかとおもうが、さてこのプレゼントの効果がいか程なものか。
疑いながらも注視したいところである。